研究概要 |
初年度には,シリコン油中を沈降する球形の水滴の境界面に近接した内外の領域の定常速度分布を計測した.液滴に近接した領域をPTVで精密に計測するために,液滴の界面近傍と内部領域の画像化と球形の液滴界面での光の屈折による歪みの補正法やトレーサ粒子混入による相界面のコンタミネーション間題などの実験技術上の課題を解決し,液滴内部と界面上の速度分布の計測に成功した.また,液滴界面の性状の変化と抗力係数の関係を明らかにし,既存の実験結果と比較できる事を示した 「相界面に接した部分の速度分布」と「界面上の剪断力分布」の計測データは本研究によってはじめて得られた結果であり,コンタミネーションの影響で液滴の表面に特異な剪断応力分布が現れることを発見した. 初年度の研究では定常流中の液滴界面に近接した領域の速度分布計測技術を開発できたが,平成13年度には変形しつつ浮上する気泡近傍の非定常かつ移動・変形境界に接した領域の速度分布を計測する技術を開発した.変形しながら浮上する気泡周りの非定常流動現象を計測することは工学的にはより有用であるが,二次元的運動に限定しても計測技術的には未解決の困難な問題が多い. 非定常の流れ計測では平均化処理による精度向上法を使用できないため,PTV解析ソフトの性能を強化して,PTV計測の精度を向上させ,1画面で数千ベクトルが得られるようになった. 上昇しつつ変形する気泡の境界近傍の速度を計測するために,a)気泡境界の曲線の数式化,b)速度の計測時刻に対応した気泡像の確定,c)速度計測点との相対位置の決定方法などの問題を解決できた.その結果,シリコン油中を変形しながら上昇する気泡の近傍と接した領域の速度の計測に成功した.計測対象は球形の気泡に変形しながら追突する気泡近傍の流動を計測できた.
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