研究概要 |
実施2年度はいろいろな現象について単純な系で数値解析を行い状況をより具体的に把握した.以下に,数値解析結果を項目別に述べる. (1)ソルトフィンガー現象 河川水の表面に流れ込んだ工場温廃水は熱の拡散により密度勾配が不安定となりソルトフィンガー現象を起こし速やかに工場温廃水と河川水が混合する,次のような系の数値解析を発表した. ・温塩水(上)と冷水(下)からなる静止二層系モデル(Numerical Heat Transfer,2001) ・温塩水(左)と冷水(右)からなる静止二層系モデル(国際伝熱会議,グルノーブル,2002) ・水(上)と塩水(下)からなる二層系の側面を加熱冷却(Int. J. Thermal Sciences,2002) その結果,濃度的に不安定な系になるとソルトフィンガー現象が起きた. (2)プルーム現象 煙突からの煙,都市の温暖化,海底火山等では上昇流(プルーム)ができ有害物質が環境に放出される.次のような系の二重拡散プルーム現象の数値解析を発表した. ・大気中での熱と物質による成層現象(Int. J. Transport Phenomena,2002) ・二層系の下面を加熱した場合(アジア太平洋化学工学会議,クライストチャーチ,2002) ・正方形容器の下面を加熱および高濃度壁とした場合(投稿準備中) その結果,下面の加熱面積が大きいと下面近くに熱が蓄積され複数のプルームができた. (3)水溶液中での凝固濃縮 水の凝固・融解による蓄熱を利用して夜間電力の平準化が行われている.水の代わりに廃水を用いることにより有害物質の濃縮も同時に行なうことができ実用化されている.塩水中で凝固が起きるときの二重拡散自然対流の数値解析を発表した. ・側面から凝固する場合(投稿準備中) ・上面から凝固する場合(伝熱シンポジウム,2002) その結果,塩水中での凝固に伴う自然対流は拡散型とFinger型に分類された.
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