研究概要 |
ハードディスクドライブや人工心臓用のアクチュエータとして、浮上モータ(セルフベアリングモータ)の適用が提案されている。これらのシステムは、小型化・低消費電力化が望まれており、特に小型化は最重要課題である。しかしながら、浮上モータは能動制御型のシステムであり、フィードバック制御のためのセンサを必要とする。このセンサの設置空間が小型化のためには大きな障害になる。 本研究では、浮上モータの制御コイルをセンサとしても用い、外部センサを用いずに浮上制御を実現する、差動トランス方式のセルフセンシング制御について検討した。1年目の概要としては、4極浮上モータを3相4極モータリングコイルと2相6極浮上コイルで構成し、モータリングコイルの各相と浮上コイルの各相間の相互インダクタンスが、ロータのラジアル方向の変移に対し線形な出力特性を持つことを明らかにした。さらに、モータリングコイルのある相をパルス幅変調(PWM)駆動し、浮上コイルの各相の搬送波成分を検波復調することで、ロータのラジアル方向の変移に線形な信号が得られることを実験的に確認した。しかし、浮上制御のためにはセルフセンシングのバンド幅やノイズ対策などまだ改善しなければならない課題もあり、セルフセンシングによる浮上回転には至らなかった。2年目はこれらの点を克服し、セルフセンシングによる浮上回転の実現を目指し研究を継続していく予定である。 さらに,アキシャル磁気軸受とモータの機能を一体化したアキシャル磁気浮上モータについても、セルフセンシングの原理と出力特性について検討を加えている。
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