研究概要 |
機械化・工業化は我々の生活を豊かにしたが,同時に騒音という社会問題をもたらし,早急な騒音対策が要求されている. そのため本研究では,機械音響の低減の指標となる人間の聴覚を考慮した音響制御用音質評価システムの構成を目的としている.機械音響の評価手段として,Zwickerのラウドネスを用いる.機械音響をラウドネスを用いて評価した後,その結果を考慮した機械音響の低減加工を行い,その加工された音響を用いて聴き取り調査を行い、さらにその結果をA特性,バンドレベルを騒音評価手段とした騒音低減結果と比較,検討した. ラウドネスによる騒音評価は,サンプル音(未加工音)をFFT処理して得たパワースペクトルから,各周波数帯に対する計26個のバンドレベル(1/3オクターブバンド)を求めた.A特性による騒音評価は,サンプル音(未加工音)をFFT処理した後,各周波数成分について,計26個のバンドレベルを求めた.バンドレベルによる騒音評価は,サンプル音のFFT処理後のスペクトルについて計26個のバンドレベルを求めた. 上記の加工により重み付けされた騒音に対し,各手法に対し機械音響低減を行った.次に低減加工した音響(加工音)に対し,一対比較法(浦の変法)を用いて聴き取り調査を行った.その結果、以下のことが分った. 1/3オクターブバンドレベル分布パターンにより,A特性による加工音は低周波帯,ラウドネスによるものは高周波帯にそれぞれバンドレベルピークを持つ騒音に対して高い騒音低減効果が得られる,しかし,中周波数帯にバンドレベルピークを持つ騒音に対しては各低減方法間の差がないため,最も簡単なバンドレベルを用いた低減が効率的と言える.
|