研究概要 |
昨年までの研究から,可変速度フィードバックで局所制御された自励振動子群の引込み現象について以下の知見を得た:(1)強制外力だけで指令振幅に達する場合に局所制御が制振の働きをし,このとき引込み現象が生じることを示した(2)強制外力と自励振動子の同期限界と位相差は,強制振動の振幅・位相特性で表せることを示した(3)近傍の影響だけを受ける相互引込みは,同期制御力を強制外力とみなすことで,強制引込みと近似的に等価に扱うことができる.また,全体場の影響を受ける相互引込みにおいても,自分自身の影響を取り除き,周囲からの影響だけを強制外力とみなすことにより,強制引込みと近似的に等価として扱うことができる. 本年度の研究では,自励振動子群の引込みに関する研究成果を基礎として,自励振動子群の協調による運動パターンの生成を目指した.周囲の影響として,他の振動子の変位と速度を同期制御力として与えて解析した結果,同期制御ゲインを十分に大きくすると,速度だけを同期制御力とした場合の位相差は同相または逆相,変位だけを同期制御力とした場合の位相差は±90度になった.そこで,変位と速度に適切な重み係数を乗じて同期制御力とし,任意の位相差を生成する手法を開発した.本手法によって任意位相差が生成できる原理を理論的に明らかにすると共に,数値実験においても任意位相差を実現した.また,局所制御により自励振動で駆動される4台の振子を用いた実験に適用した結果,実条件下でも任意位相差駆動が実現でき,運動パターンを生成できることを示した.また,これらの成果を振動搬送機械の駆動に応用した.分散形振動搬送を実現するための同期手法として利用し,複数台の直線形振動搬送機械を協調させた搬送を実現した.
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