研究概要 |
将来,人間の生活環境で稼働する柔軟ロボットとして,多数の直動アクチュエータを相互に連結して網状の曲面や立体を構成する超多自由度網構造ロボットを提案し,その網構造の最小単位であるモジュールに基づいた運動制御手法を確立することを目的とし,各モジュールに分散される変位誤差のフィードバック制御系を構築した.得られた主な成果は以下のとおりである. 1.網構造モジュールの運動学解析 直動アクチュエータ,多対偶素節および回転対偶からなる3種類の平面網構造モジュールについて,順運動学解析式,およびモジュール上の代表点を与えてアクチュエータ入力を得る逆運動学解析式を導出して,運動学解析の数値計算を可能にした. 2.モジュール分散フィードバック制御法の考案 出力節の変位誤差からモジュール上の代表点の変位誤差を推定し,それに基づいて各モジュールの逆運動学解析を行い,得られたアクチュエータ入力を用いてロボット全体の順運動学解析を行なって再び出力節の変位誤差を求め,それが収束するまで繰り返し演算を行う新しい「モジュール分散フィードバック制御法」を考案し,その解析プログラムを作成した. 3.平面網構造ロボットと駆動制御系の試作 3種類の平面網構造モジュール9台を相互に接続した12自由度13アクチュエータの平面網構造ロボット2種類およびそれらのアクチュエータ駆動制御回路を試作するとともに,「モジュール分散フィードバック制御」の制御プログラムを構築した. 4.シミュレーションおよび制御実験 試作ロボットについて,「モジュール分散フィードバック制御」による出力点のPTP制御ならびにCP制御のシミュレーションおよび制御実験を行い,ロボットが精密位置決めが可能であることを確認し,提案した制御手法の有用性を示した.
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