研究概要 |
単軸のトルクセンサを用いて,トレース面の凹凸形状を再構築することができる摩擦フリーTracing型人工能動触角の基本動作原理について考察した.原理的には2次元形状を再構築するためには2軸トルクセンサが必要である.一方,最少の単軸トルクセンサを想定した場合,触角先端部の変位はトルクセンサで検出できる変位成分とトルクセンサでは検出できない変位成分に分解できる.トルクセンサで検出できない成分は触角と環境との摩擦によっても影響を受けるため,一般的な触角形状に対して,単軸トルクセンサだけでトレース面を再構築することは不可能である.ところが,弾性棒として直線形状の弾性棒を用いた場合には,トルクセンサで検出できない変位成分が軸力に対応する.一般に単位の力を触角の軸方向に作用させた場合の変位量は,軸に垂直方向に作用させる場合の変位量に比べ,無視できる程度に小さい.したがって,トルクセンサで検出できない変位成分は実質的に無視できることになる.つまり,単軸のトルクセンサ出力とトレース面の形状がほぼ一対一に対応する.このような考察に基づいて,単軸のトルクセンサだけで,摩擦の影響を受けずに2次元形状が実用上問題なく再構築できることを理論的に明らかにした.さらに,触角を高速で動かした場合にトルクセンサに介入するノイズ除去を考慮に入れた信号処理方法,さらにセンサの応答特性を向上させるために,弾性棒のダイナミクスを考慮に入れた信号処理方法についても考察した.
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