研究概要 |
直線弾性棒,ひずみゲージを備えたアダプター,及びそれらを動かすアクチュエータから構成されるトレーシング型人工能動触角の動作原理に関する基本的考察と動作確認実験を行った.動作原理としては,直線の弾性棒を用いた場合,先端の変位が弾性棒の長さに対して1%程度以内であれば,わずか一軸のトルクセンサ情報で,センサ面の摩擦の影響を受けることなく,表面段差形状が高精度で再構築できることを理論的に示した.さらにプロトタイプモデルを試作し,従来計測法(レーザ変位計,接触式電子ダイヤルゲージ)との比較実験を行った結果,200μm程度の段差に対して5μm以下の高精度で計測できることが確認できた.本センサは従来型のセンサと異なり,プローブ先端が細く(1mm程度)かつ柔らかいという特徴を持っている.このため,本センサは従来型のセンサでは計測できなかった細い穴の中の形状を計測するようなニーズに対して威力を発揮する可能性を秘めている.一方,エンジン部品をはじめとした工業部品の生産過程では,製品の品質を保証するため,めねじが規定値通り加工されているかどうか抜き打ち的にチェックされている.従来この検査は人によりマニュアルで行われていたが,本センサの特徴を生かした.自動有効ねじ長検出システム構築に向けた基礎的実験も行った.プローブ先端部を細く加工し,2mm程度曲げることでめねじの最深部に到達できるようにし,実際のねじ部を利用した検証実験を行った.その結果,要求検出精度である100μmを十分クリアできることが確認できた.本センサシステムはきわめて安価に作れることから実用化への道がにわかに見えてきたといえる.
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