研究概要 |
本研究の目的は,無制限に深い穴を高精度で加工できるロボットを開発することである.ロボットは,カウンターボーリングヘッド,前部アクチュエータユニット,ビルトイン方式モータ,後部アクチュエータユニットおよびロボットのローリング自動修正機能付き送りユニットから構成される. 本年度はロボット本体の誘導に関する実験を,事業化のレベルまで達しているレーザ誘導方式深穴加工工具を用いて行い,次のような成果が得られた. 1.ロボットの姿勢を高精度に検出するための方法を考案した.ロボット本体のローリングおよび姿勢(X, Y両方向変位)をオフセンターにセットしている2個のセンサでそれぞれ検出している.ローリング検出用センサは,ローリングがなく変位のみが生じても出力が生じる.一方,姿勢検出用センサは変位がなくローリングのみが生じても出力が生じる.すなわち信号の干渉が生じている.この干渉を取り除き真のローリングおよび姿勢を検出する方法を考案した. 2.ロボットの誘導精度を,誘導軸を設定軸(主軸回転中心軸)に高精度で合わせる方法を考案することにより向上することができた. さらに,カウンターボーリングヘッド,姿勢制御用アクチュエータユニットおよびビルトイン方式モータの改良を行い実用型のロボット本体を製作した.その結果,ロボットがローリング自動修正機能付き送りユニットのかわりに,ローリング防止装置を用い工作物を深穴加工機のテーブルで送る形で使用可能になった. ローリング自動修正機能付き送りユニットに関しては,次のような経緯で設計の段階にとどまり製作を控えている.ローリング自動修正機能付き送りユニットを,ロボットのローリングを止めるアクティブローテーションストッパと送りを与える送りユニットに分離して製作した.個別に性能試験を行った結果,十分機能を果たすまでには至らなかった.もう少し開発のための時間が必要である.
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