(1)コオロギの歩容の観測と解析 歩容を詳細に観測するために、トレッドミルを製作した。これは、走行するベルトコンベアの上でコオロギを歩行させ、走行速度を調整することで、見かけ上コオロギを定点で高速度撮影できるようにしたものである。撮影は、毎秒250フレームで行った。コンベア表面には縞模様をつけ速度を画像上で計測できるようにした。コオロギがコンベアの中央部に存在するように、触覚と側壁を利用した。 (2)ロボットの脚のためのアクチュエータの開発 歩行ロボットにおいて、重要な問題のひとつは、重量を以下に少なくできるかである。とくに、アクチュエータは、電磁モーターなどを用いると、重量を大きく増加させる要素となる。そこで、本研究では、シリコーンゴムを利用した独特の空気アクチュエータを開発して応用することを考えた。基本原理は、東芝の研究開発センターのFMA(flexible micro actuator)によるが、新しく開発したものは、長方形断面である。関節を空間的に変形させることが出来るというこの種のアクチュエータの特徴を巧みに生かして、昆虫の歩行をうまく模倣できるロボットを試作することができた。 (3)6脚ロボットの製作 昨年までは、昆虫の代表として蟻を対象とした研究を続けてきた。蟻は、6本の足が大体同じ長さで、同じような機能を持ったものであるので、ロボットとして製作する規範としては適当であろうと考えたからである。上のアクチュエータを利用して、基本的な形は完成したので、今後改良を重ねて、コオロギ型のロボットと共に改良を続けて行く予定である。
|