(1)6足歩容(gait)観察システムの装備と解析:実際の生物の歩容をよく観察することが、彼等の歩行アルゴリズムを把握し、最適化の内容を理解するただ一つの方法である。そこで、観察用トレッドミルを作成して、これによりデータを得ている。今年度は、トレッドミルに更なる改良を加えて、より正確な歩容解析を行なった。主な改良点は、(1)トレッドミルのベルトの上下運動を防いだこと。(2)ベルトの上に正方形状の障害物を接着し、凹凸のある面の上の歩行を観察できるようにしたことである。また、トレッドミルに前後の傾斜をもたせ、コオロギが坂道を昇降する様子を観察した。また、脚の数ヵ所に白いマークをつけて(コオロギを炭酸ガスで麻痺させてペンキを塗った)フレーム毎の脚の動きを明瞭に捕らえるようにし、コオロギの歩行中における前脚、中脚、後脚の関節角の時間的な変化を高速度カメラで撮影したので、これまでより正確なデータを得ることができた。 (2)6脚歩行ロボットの設計と試作:アクチュエータとして、電気サーボモータを用いたものと、ゴム管式空気圧アクチュエータを用いたものの両方を作成した。いずれの場合も、歩容を巧く分類して、歩行パターンをできるだけ少ない種類にするよう努力し、実際の昆虫の歩行とまったく同じではないが、歩行運動、脚の運び具合の本質的なところがよく再現されるような歩行ロポットを作成することができた。 特に、本年は、コオロギを規範とするロポットの製作が予想以上に進み、障害物を乗り越える様子などは、実際のコオロギに非常に似た脚の動かし具合が観察された。
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