研究概要 |
前年度,汎用性が高く誰でも手軽に扱うことができるようにWindowsをベースとし,眉,目,鼻,口の輪郭(顔器官輪郭)を安定的に高速で抽出するソフトウェアを開発した.さらに,応用アプリケーションの開発を容易にするために,各顔器官を抽出するまでの関数ソフトウェアを,Windowsの標準API(Application Programming Interface)として用意した.本年度は、このソフトウェアをベースとして、顔表情認識に重要な要素は何かの検討を始めた。 表情には様々な要因があるが、本研究では、特に精神疾患患者に注目した。精神科における診断では、定量的な指標がないことから、医師は患者の顔表情を元に診断を下す。そこには、健常者とは異なる表情の特徴があることは明らかであり、それを明確にすることにより、表情とは何かを明確にすることができると考えた。そこでまず,医師が介在する必要がなく、自動的に問診を行うことができる「自動問診システム」を開発した。次に、前年度に開発したソフトウェアをベースに、自動問診中の被験者の顔表情から瞳の動きや顔器官輪郭の変化等を自動的・安定的に抽出する「顔表情特徴自動抽出」を実現した。そして、複数の健常者,患者から瞳の動きや顔器官輪郭の変化,顔内部の動き等からなる基礎データを収集した。次年度は、この基礎データから、健常者と患者間で有意な差があるような情報を導出し、表情に重要な要素は何かを検討する。
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