研究概要 |
本年度は,主に以下の2項目について実施した. 1.サスペンション系防振ゴムの剛性変更によるロードノイズと乗り心地の改善 人が作業を行う際の妨げとなる振動を低減するために自動車のサスペンション系,の剛性変更による最適化を行い,乗り心地の改善に関して以下の結論を得た. (1)多入力1出力系解析手法を応用したロードノイズ寄与解析及びサスペンション系加振実験より,問題となる騒音はタイヤ,ホイールおよびアブソーバ連成共振により生じることを明らかにした. (2)周波数応答関数を用いた感度解析より,前輪サスペンション系に設定された2箇所の防振ゴムの内,前側防振ゴムが乗り心地に対して高い剛性感度を有することを特定した. (3)前側防振ゴムの剛性を約30%低下させることにより,乗り心地に影響する振動について4.5dBの改善を確認し,本手法が乗り心地の改善に向けた剛性組み合わせ最適化手法として有用であることを示した. 2.誤使用による影響を考慮したチャイルドシートの安全性評価 チャイルドシート(CRS)と幼児ダミーを組み合わせた数値モデルを用いて,CRSの構造の違いが安全性に与える変化をシミュレーションした.その結果に基づき,誤使用時の安全性を評価するため,重回帰分析を応用した新しい安全性評価指標として結合影響度を提案し以下の結論を得た. (1)自動車ベルトの誤使用に比較して,ハーネスの誤使用が幼児に与える影響がはるかに高い. (2)誤使用による影響が最も顕著に現れる傷害値は,頭部GSIならびに頚部引張り荷重である. (3)本研究で提案した結合影響度は,誤使用による影響の大きさを定量化する評価手法として有用である.
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