研究概要 |
平成12年度から留萌郡小平町字鬼鹿元浜にがいしの曝露試験所を作り、試験用がいしの塩雪害環境への曝露試験を行っている。曝露試験場は、架設足場用パイプで試験用碍子を架設する高さ約6mの棚を作り、これに材質の異なる3種類のポリマー碍子(Silicone rubber, EPDM, EVA)、形状の異なるシリコーンゴム製複合碍子(同径笠、段違笠)および各種磁器碍子をつり下げ海風や着雪に曝した。この試験場は波打ち際から直線距離で80m離れていて、国道を挟んでいる。拭き洗いによるがいしの汚損度測定は、毎月行っている。がいしを拭き洗いした汚損液中のNaとMgイオン分析を12ヶ月行った。成分比率はいつも同じであることが確認され、この観測場所は海塩飛来だけによる汚損を再確認した。平成14年度初めには黄砂が記録的な頻度と量で飛来し、がいしに付着、その結果、がいしの抵抗は観測中の最低を示すことが有った。この黄砂はその後もがいしに付着した不溶解性付着物として観測し、付着した黄砂の落ちにくさを実感した。また、平成14年度の観測では、春と季節風が吹く11月では、風向や湿度の変化に大きな違いや季節的特徴を知ることが出来た。この季節依存の気象に伴い、各種試験用がいしの汚損状態や、それに依存する直流漏れ抵抗が変化していることを観察できた。また、がいし表面にモノマーのシリコーンオイルを染み出すシリコーンゴム製がいしとオイルを染み出さずロウ成分のような表面のEVAがいしとでは直流抵抗の湿度変化の1ヶ月間の散布図に大きな違いを観察した。今後、毎月の汚損度の測定を継続するとともに、これら材質毎の絶縁特性の違いを解明する予定である。
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