留萌郡小平町字鬼鹿元浜にがいし曝露試験場を構築して、各種試験用かいしの塩雪害環境下での曝露試験を行ってきた。曝露試験場は海岸から続く平坦な土地で、国道を挟んで海岸から直線距離で80m離れている。曝露がいしの架設高さは海面から約10mである。がいしの絶縁変化は直流表面抵抗変化として観測し、気象データも収集した。試験に使用した各種碍子のポリマー材料3種類は、シリコーンゴム、EPDM、EVAである。また、これらポリマーがいしの絶縁特性と比較検討するために種々の形状の磁器製がいしも曝露して観測した。また、2年間に渡り、ほぼ毎月各種がいしの塩分付着密度と不溶解性付着密度の観測も行った。 塩雪害環境下での絶縁は、海からの風による海塩付着の他に、風による雪の飛来が汚損表面の湿潤を発生させて絶縁低下の要因の一つとなっていることが分かった。また、曝露試験場と同じ地域の海岸から750m内陸の変電所内の磁器がいしの絶縁変化と比較・調査したところ、両者には明らかな違いが観測され、曝露試験場での海の影響の大きさを示していた。ポリマーがいし類に関しては、がいし表面にシリコーンオイルを染み出すシリコーンゴムとオイルを染み出さないが表面がロウ成分で覆われている様なEVAでは絶縁抵抗変化に違いが観測された。また、2002年3月と4月に飛来した黄砂の付着状態は、シリコーン表面ではそのオイルと共に付着して雨洗効果による消失が少なかったが、ポリマーがいしと同じような形状の磁器がいしでは雨洗効果が大きいので、黄砂の付着期間が極めて短かった。
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