これまでの機械式タップ切換器のもつ欠点(短寿命、低応答速度)を克服し、しかも新たな機能をもつ電子式タップ切換器を実現するための基礎的な検討を行った。その結果、基礎実験とシミュレーションにより以下の知見が得られた。 (1)双方向電子スイッチを用いた小容量交流チョッパ装置を試作し、これにより電子スイッチの転流動作を検討した。その結果、トランジスタの適切なオン・オフ動作により、過電流や過電圧を発生することなく、安全な転流動作が行えることを確かめた。この転流法はそのままタップ切換器に適用できる。 (2)系統電圧に第3次調波が含まれる場合について、タップ切換器で負荷電圧制御と同時に波形成形し、第3次成分を低減することを検討した。このとき、出力電圧のパルス面積が目標正弦波の面積に比例するように制御することにより、第3次成分を1%以下に低減できることがわかった。 (3)上述の高調波低減効果を得るためには、タップ電圧を一次電圧の10〜15%まで高くする必要がある。この結果、電子スイッチ容量が増大する欠点が生じるので、アクティブフィルタ機能付加することの実用性は高耐圧トランジスタのコストに依存する。 (4)三相式電子式タップ切換器の検討、ソフトスイッチング回路の開発などが今後の課題として残された。
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