無機絶縁材料の高温領域における部分放電発生メカニズムを解明することを目的に、交流電圧の位相(φ)、放電電荷量(q)、放電発生頻度(n)を三次元統計処理するためのプログラムを作成した。また、この展開として電圧および温度などのパラメータに対する統計処理を可能として、計測装置を構築した。 本装置を用いて、数種類のセラミックスについて沿面での部分放電発生状況を調べたところ、主に以下のことが明らかになった。 (1)電圧および温度上昇に伴う放電電荷量の増加はある値以上で局所的なコンダクタンスの増大によって飽和傾向を示す。 (2)試料の熱伝導率が高いほど飽和が現れる温度が高く、放電と熱との密接な関連が示唆される。 (3)絶縁破壊に至る直前の放電量は電圧や温度に関わらずほとんど同一の値であり、放電量そのものが破壊への影響が大きいと推測される。 以上の他、高温絶縁の応用として、耐熱絶縁材の適用による電動機出力密度向上の効果を検討し、耐熱温度400℃程度までは出力密度が著しく高まるが、それ以上では飽和して大きな効果がないことを明らかにした。
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