SiC等超低損失半導体パワーデバイスの応用にあたり、絶縁機能を含む高温動作での各種電気素子の開発が急務な状況となっている。SiCパワーデバイスが400℃といった高温で動作した場合、フィルタなどを構成する電子部品もほぼ同温度になることが予想される。しかし、現在の電子部品はそのような高温での使用を想定されていない。特にコンデンサに用いられる誘電体の高温における誘電特性はほとんど測定されていない。そこで、BaTiO_3磁器の誘電率および直流抵抗を測定しオシロスコープで電流波形の変化を観察することにより高温領域における誘電体の特性を調べた。 150℃〜400℃におけるBaTiO_3磁器の誘電特性を測定し、以下のような知見を得た。 (1)150℃から300℃における静電容量から導出された誘電率の測定値はCurie-Weissの理論から得られる値とほぼ一致している。BaTiO_3磁器は300℃付近まで誘電体としての物性を維持するが400℃付近になると。抵抗成分が容量成分より相対的に大きくなり抵抗体に近い物性を示すことがわかった。 (2)BaTiO_3磁器の直流抵抗は50℃〜250℃付近で温度に対し指数関数的に減少するが、250℃から350℃付近においては減少の割合が小さくなり、350℃から400℃で再び指数関数的に大きく減少する。この原因は部分放電現象を含む電流の増加によって見かけ上の抵抗値が減少したためであると考えられる。
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