研究概要 |
本研究では,主たる電力を取り扱う低スイッチング周波数の主ブリッジと,入力電流波形改善機能を担う小容量の高スイッチング周波数の副ブリッジを並列多重化し,大電流の高速スイッチングを避けることにより,発生する電磁ノイズの低減が期待できるハイブリッド方式のPWM整流回路の開発を行なった。 まず,ハイブリッド方式を電圧形PWM整流回路に適用する場合の基本的な制御回路構成を示し,実験装置を製作した。実験的検討により,従来形のPWM整流回路の高スイッチング周波数動作と同等以上の入力電流波形改善が可能であることを確認した。次に,同等の入力電流波形が実現できる条件において,提案するハイブリッド方式と通常方式のPWM整流回路の発生する各種電磁ノイズを実測した。その結果,放射性ノイズの低減に特に有効であることが確認された。また,伝導性ノイズについては,一部の周波数帯域で低減効果が認められた。 次に,電磁ノイズ低減のメカニズムを解明するために,バルブデバイスとして用いるIGBTを単独でスイッチングさせた場合の発生ノイズの電圧,電流およびスイッチング周波数依存性を実測し,ハイブリッド化により大電流の高速スイッチングを避けることの有効性の裏づけを得た。さらに,システムの設計指針を得るために,主ブリッジの発生するキャリヤ高調波の振幅を理論的に算定する簡便な方法を考案した。また,効率の主ブリッジスイッチング速度依存性が少ないハイブリッド方式の特徴を生かし,IGBTのゲート抵抗を大きくしスイッチング速度を意図的に下げた場合の電磁ノイズの実験的検討を行ない,さらなるノイズ低減の可能性を示した。 以上の成果により,本方式の有用性の実証および設計指針の確立に向けて必要な検討が一通り完了したと判断し,実用化への見通しが得られたと考える。
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