本研究は、パワーエレクトロニクス技術を用いた新送電システムFACTS(Flexible AC Transmission Systems)に関して、特にサイリスタ制御直列コンデンサTCSC(Thyristor Controlled Series Capacitor)による送電線インピーダンスの制御による電力潮流制御方式について、試作装置を用いて、本研究室にある模擬送電線路における実験を行い、その送電電力向上及び安定度向上効果を実験的並びに解析的に検討しようとするものである。 今年度の研究成果は次の通りである。 1。サイリスタ制御直列コンデンサによる同時送電可能電力の最大化に関する検討 電力自由化に伴い、複数のPPSが系統に参入した場合に、系統運用上の制約を考慮した上で、既存の送電量に上乗せ可能な同時送電可能電力を最大にすることが重要である。サイリスタ制御直列コンデンサ装置を、系統内の線路に導入した場合に、そのインピーダンスをどのように設定すれば、同時送電可能電力が最大になるかを3機6母線の例題系統を用いて検討した。手法として、生物が群れでえさを探す振る舞いを模擬した最適化手法であるPSO(Particle Swarm Optimaization)を用いている。 2。統合電力潮流制御装置(UPFC)の試作とその基本特性の検討 TCSCと同様FACTS機器の一種であるUPFCを試作して、本学設置の模擬送電線路に導入して、その基本的な潮流制御機能を検討した。すなわち、無効電力補償および電圧補償機能について一機無限大母線系統並びに二期無限大母線系統において検討した。今後は、TCSCとUPFCの機能比較などを行う予定である。 3。TCSCによる電力動揺抑制効果の検討 TCSCによる電力動揺抑制効果について実験並びにシミュレーションで検討した。
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