本年度の研究の進行状況は以下の通りである。コロイドカーボンの電極への化学的ドーピングを実験的に明らかにするために独自の装置を設計し、委託製作した。しかしながら実験を遂行していく過程で、探針の圧力、測定値をサンプリングしていく過程でのソフト上の問題で現在再調整をしている段階で、本格的な計測はいささか遅れている。 今年度の研究発表は、無機高分子討論会(11月東京理科大)、炭素材料学会(12月北九州国際会議場、小倉)で行い、更に電気学会全国大会(3月名大)で発表する予定である。従来は、陽極に対する酸化ドーピングのみが観測されていた。今年度新たに発見したことは、陰極に対する還元的ドーピングも同時に進行している可能性があることである。従来は酸化のドーピング電流しか観測できなかったが、コロイド濃度を減少していくと還元によるドーピング電流が観測できることが見出された。また試験極に金、白金、黒鉛を用いた場合は、特に低濃度のコロイド溶液でなくても還元ドーピング電流が計測された。従来の還元的ドーピング電流が観測できなかった原因は、試験極のカーボン電着による状態の変化によるものと考えられる。
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