研究概要 |
本研究は,従来より研究を継続してきた,電気-機械結合系に関わる連成問題に関わる一連の実験的研究に基づいて行うものである.従来この種の問題は工学的に現実的な問題でありながら,近年は計算機の発達により主として数値計算の対象としての興味で研究がなされることが多かった.それらのシステムにおいても,電気系,機械系がそれぞれ独立に検討され,システムとして連成を如何に検討するかという立場を本研究の計画に反映するため,実験主体の研究を行ってきた.本年度の研究期間において得られた結果を以下に示す. 1.磁気浮上推進系の振動試験装置の試作 申請者のグループで従来の研究で製作した磁気弾性連鎖系,柔構造浮上体の振動実験装置,リニアモータ・浮上可動子系等のシステムにおいて得られた実験結果に基づき,電気-機械連成問題の検討すべき点を明確にした.その検討に基づき,新たに磁気浮上推進系の電磁加振実験装置を試作した. 2.実験データの検証と数式モデルの導出 新たに製作したシステムは,機械系の振動と磁気的に浮上力を作る電気回路内の電流の間に非線形結合がある.この点を考慮した数式モデルを検証することは,振動の抑制には欠かせない.そこで,本年度はまず新なに製作したシステムの振動について定性的に検証を加え,数式モデルの可能性について示した.その結果,6自由度のシステムにおいて,軸間で非線形な結合項が存在し,その結合による非線形連成が発生することを実験データとの比較検討により明らかにした.また,実験装置に置いて,振動モードの共存の可能性を示唆するデータを得た.
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