研究概要 |
製鉄所,電気鉄道などの電力負荷は,不規則に変動するピーク負荷である.従って,それら電力負荷に給電するための電力設備は,負荷が消費する電力の平均値に比較し大容量なものが必要となる.そこで,超電導エネルギー貯蔵装置(SMES)を需要地近傍に設置し,負荷の電力変動に基づいてエネルギーを吸放出させることにより,電力を平準化することができれば,電力設備の小型・小容量化,さらに電力設備における電力損失の低減も期待できる.このような視点からSMESを用いた電力平準化の研究を進め,以下の検討を行った. 不規則に変動する電力を制御する制御法として,これまでにファジィ理論に基づいた制御法を提案してきた.しかし,ファジィ推論に用いるメンバーシップ関数は固定としているが,平準化制御結果はメンバーシップ関数によっても影響を受ける.従って,制御条件に応じて最適なメンバーシップ関数を得るため,ニューロ・ファジィを用いてメンバーシップ関数をオンラインで自動構築する方法を提案した.この手法は,設計者がプラントを熟知していなくても,時々刻々と変化する負荷に応じて最適なメンバーシップ関数を自動構築できる.これにより,これまでメンバーシップ関数を固定としていたファジィ平準化制御結果に比較し,1割程度の設備容量及び損失の低減が可能となった. ニューロ・ファジィに基づいた電力平準化制御法において,ニューラルネットワークの学習係数の決定は平準化制御結果に大きく影響する.また,変動する負荷の平準化を行うSMES容量はできるだけ小容量であることが望ましい.そこで,ニューラルネットワークの学習に影響する学習係数の値とSMES容量の最適化を行うため,遺伝的アルゴリズム(GA)を用いて,これらの最適な値を決定する方法を提案した.提案した方法により,それぞれの最適値を決定することができ,負荷変動の平準化制御を行うSMES容量の低減とニューラルネットワークの効率的な学習が実現できることを明らかにした.
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