研究概要 |
近年,電子機器や電気機器の電源としてスイッチング方式のインバータやコンバータが普及し,これに伴い,それらで発生する入力電流の高調波による障害が問題となっている。このため,IEC(国際電気基準会議)や通産省は電子機器や電気機器の機種ごとに高調波電流に関してのガイドラインを提示し,対策を求めている。 まず,テレビジョン受像機やパーソナルコンピュータの電源に適用されるクラスDを満足するためのいくつかの回路方式を提案し,回路の動作特性について,実験的,理論的解析を行った。その中の一つの回路方式は三巻線リアクトルを持つソフトスイッチング方式のAC-DCコンバータであり,この回路の設計理論を確立した。電力効率は非常に高く,定格電力において93%を達成した。また,他の一つの回路方式はリンギングチョークコンバータを基本とした回路であり,チョークコイルとダイオードを追加した簡単な回路構成により,入力電流の高調波抑制に成功している。0.95の高力率が得られている。 次に,入力電流高調波の規制が最も厳しい照明用電子安定器の新しい回路方式に関する研究を行った。この場合は,クラスCが適用され,入力電流波形はほぼ正弦波状であることが求められる。ハーフブリッジ形回路の2つの大容量キャパシタの一つを極端に小さなキャパシタに置き換え,これにより入力電流の高調波を低減することに成功した。入力電流に着目した回路解析を行い,理論的にも,入力電流の高調波成分が抑制できることを明らかにした。
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