アクティブパワーフィルタの制御に、ディジタルシグナルプロセッサを用いてインテリジェント化を図り、制御周期や補償ゲインを動的に変化させ、高調波除去性能の高性能化を達成する。三相回路の高調波検出には三相/二相変換をするpq理論が用いられるが、その際に高調波分を抽出するところにハイパスフィルタ(HPF)が必要であり、HPFの性能が検出器の性能を規定する重要な要素である。本研究では移動平均演算を用いて瞬時有効電力、瞬時無効電力の直流分を求め、従来のHPFでは困難であった、高精度と高応答の両立を達成した。 アクティブフィルタに、無効電力補償も兼ね備えて高機能化を図る。電源電流検出方式で無効電力と高調波を同時補償する場合に、本方式では高調波補償率66%、負荷変動時の過渡応答時間は20ms(従来方式:42ms)と優れていることを明らかにした。 三相負荷に不平衡がある場合に、アクティブフィルタでこれを補償して三相平衡化させる。不平衡成分補償のために、移動平均HPFの移動平均区間を1/2f(fは電源周波数)に設定し、高調波電流と不平衡電流を同時に補償した。定常特性では電源電流は三相平衡となり、高調波補償率は各相で80%以上、負荷変動時の過渡応答は約9.6msと良好な結果を得た。 アクティブフィルタの制御系で、HPFを用いないで負荷電流の基本波成分の振幅と位相差を直接検出すれば、原理的に電流振幅は1サンプリング時間で、また位相差は電源周波数の60度以内に検出できる。そのような直接検出方式を提案し、原理通りの特性が得られることをシミュレーションと実験で確認した。
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