申請者らの研究室では誘導電動機の高トルク、高効率を目指し、ロータの内部をくりぬき自由に回転できる磁石を内蔵した、磁石内蔵型誘導電動機を提案した。この磁石内蔵型誘導電動機は高トルク、高効率を達成し、また力率が可変できるという特徴を有している。 昨年は自起動特性の改善を目指して2重籠型構造のロータを有する磁石内蔵誘導電動機を試作した。本年は新しく導入したモータ特性自動測定装置によって、市販誘導電動機、普通籠型磁石内蔵誘導電動機、及び2重籠型磁石内蔵誘導電動機の効率特性を各種周波数で測定し、比較を行った。その結果普通籠型磁石内蔵機は全周波数、全負荷領域において市販誘導機より高効率特性を示すことが分かった。2重籠型磁石内蔵機は低周波、低出力域では市販機よりも効率が低かったが、周波数が高くなり、高出力域では、予想通り、他の誘導機より格段に高効率となることが分かった。低出力域で低効率となる原因としては、市販誘導機のような二次導体のスキューを持たせなかったために、ホールディングトルクが発生したためと考えられ、構造を改善することにより、この領域でも高効率とすることができると思われる。また磁石内蔵機は構造、動作が複雑で磁場解析が極めて困難と考えられたが、解析法を工夫することにより、磁場解析を行うことに成功した。
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