研究課題
基盤研究(C)
CaF_2とCdF_2の混晶薄膜をSi基板上にヘテロエピタキシャル成長する系において、混晶組成によってエネルギーバンド構造の伝導帯端のエネルギーレベルを人工的に制御できること、およびこれをデバイスに応用することの有効性を示すことを目的として研究を進めた。まず、Ca_xCd_<1-x>F_2混晶をSi基板上に成長する際に必要となるCaF_2バッファの薄層化をはかり、これを2分子層相当まで薄くしてもその上の混晶層の結晶性および表面モフォロジーを良好に維持できることを明らかにし、CaF_2バッファ層を電子が充分トンネルできる程度まで薄くできるので、各種トンネルデバイスへの応用に問題ないことを示した。続いて、内部光電子放出法を用い、Au/Ca_xCd_<1-x>F_2/CaF_2(バッファ)/Si(111)構造のダイオードに対しAu側から電子を光励起し、Ca_xCd_<1-x>F_2混晶層への光励起電流の励起波長依存性を計測した。この結果より、Ca_xCd_<1-x>F_2混晶の伝導帯端エネルギーレベルが組成によって線形に変化することを始めて実証した。また、従来はX線光電子分光法のみで評価されていたCaF_2のエネルギー障壁レベル(Siに対して2.3eV)が本方法でも求められ、従来の報告値と一致することも確認できた。以上より、弗化物Ca_xCd_<1-x>F_2混晶系で組成によるエネルギーバンドエンジニアリングが可能であることを明らかにした。最後に、この混晶層をバリア層に用いたダブルバリア共鳴トンネルダイオードを製作し、従来のCaF_2バリアの素子と特性比較を行った。その結果、前者でも微分負性抵抗特性が得られ、後者に比べて厚いバリア層を用いても高い電流密度が得られることがわかり、エネルギー障壁レベルの制御性がトンネルデバイスの電気特性からも示された。Si基板上の量子効果デバイスのための材料技術として非常に有効であると結論した。
すべて 2002 2001
すべて 雑誌論文 (10件)
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