研究課題/領域番号 |
12650308
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
福家 俊郎 静岡大学, 工学部, 教授 (00022236)
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研究分担者 |
角谷 正友 静岡大学, 工学部, 助手 (20293607)
高野 泰 静岡大学, 工学部, 助教授 (00197120)
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キーワード | 化合物半導体 / 窒化物 / 選択成長 / 有機金属気相成長法 / 転位密度 / 高品位化 |
研究概要 |
本研究は、より高品位GaN薄膜結晶を得るために、金属ドットをGaN成長層中に埋め込み、基板-GaN成長層界面で発生する貫通転位などの欠陥密度を低減させる可能性を示すことを目的としたものである。得られた研究結果を以下に示す。 1.サファイア基板上に有機金属気相成長法により成長させた0.6μm厚のGaN層上に、Gaドットを形成し、選択成長用マスクとして利用した。Gaドット層を1度だけ形成し、その上に2.4μmのGaN再成長層を形成することにより、GaN再成長層上に堆積したInGaN層のピット密度を走査電子顕微鏡で観察することにより評価した再成長GaN層の欠陥密度は、4×10^8/cm^2に減少した。さらにGa埋め込み層を2度埋め込むことにより、再成長層の欠陥密度はさらに減少し、2×10^7/cm^2という値が得られた。 2.Gaのみを供給することにより形成したGaドットは、1040℃という再成長GaN層の成長温度では、ある程度の蒸気圧を示す。したがって、GaN再成長時には局所的にGa原子の供給量の多いところが存在し、その部分での成長速度が大きくなる。その結果、Gaドットのあるところを中心にして、成長ステップが周囲に広がり、平坦化が進行する。 3.GaN初期成長層堆積後、同じ温度において窒素及び水素の混合ガス中で放置すると、GaN成長層はエッチングされ、Gaドットが形成される。エッチング速度は雰囲気ガスの水素分圧に大きく依存し、選択成長用マスクとして利用できるGaドットが形成される条件は0.05〜0.1nm/分程度のエッチング速度に調整することであった。このような簡単なマスク形成手法を用いることにより、再成長層表面のAFM像においてピットとして観察されるらせん転位密度が1×10^8/cm^2以下となる領域が形成された。
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