研究課題/領域番号 |
12650310
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
奥田 高士 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (60233459)
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研究分担者 |
安達 信泰 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (90262956)
大里 齊 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (20024333)
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キーワード | 薄膜永久磁石 / Nd_2Fe_<14>B / 熱処理結晶化 / 基板温度 / 垂直磁化膜 / 柱状構造 / 単磁区粒子 / 高保磁力 |
研究概要 |
(1)薄膜の合成 H12年度の研究の結果、堆積時の基板表面温度が薄膜構造に影響を与え、その構造と熱処理結晶化によって生じる結晶の配向性と粒径が密接に関連しているらしいことが分かった。そこでMo基板と水冷基板ホルダーとの間に挿入する熱絶縁層の厚さ(t_<IN>)を細かく変化させて基板表面温度をパラメーターとする製膜実験を行った。 (2)微細構造評価 熱処理前の膜のXRDの結果は全ての膜が非晶質状態であることを示しており、基板表面温度の違いによる物質相の変化は見いだせなかった。SEMにより観察した膜断面構造は基板表面温度によらず連続的であり、柱状構造など特異な構造は検出されなかった。熱処理した膜のNd_2Fe_<14>B(Φ相)のc軸配向性はt_<IN>が増すに連れて増すが、極大となるt_<IN>があることを見出した。SEMで観察した膜断面構造からΦ相の微結晶が柱状組織を形成しており、c軸配向性と柱状組織の発達との間に強い相関性があることが分かった。 (3)磁気特性 熱処理前の膜の磁気特性は膜が非晶質であることに符合して軟磁性を示し、面内磁化膜である。膜面に平行に磁場を印加して飽和に要する磁場H_<NS>はt_<IN>の増加とともに増加し、極大値をもつことが分かった。熱処理膜の残留磁化、保磁力、最大エネルギー積はt_<IN>に顕著に依存し、いずれも極大値をもつ。その時のt_<IN>はH_<NS>およびc軸配向度が極大を示すt_<IN>と一致する。熱処理膜の初磁化曲線は保磁力機構が核生成型であることを示している。 (4)高保磁力発生機構 熱処理結晶化膜が15kOe以上の高保磁力を示し、初磁化曲線が核生成型であることから、Φ相は大きさの揃った単磁区粒子サイズ(200nm)の粒子になっており、それらのc軸が膜法線方向に揃っていることが高保磁力の発生原因と考えている。それを実証すべくTEM観察実験を進めている。
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