1.InAs自己形成量子ドットのサイズ・密度の高精度制御 分子線結晶成長法によるGaAs(001)基板上へのInAs自己形成量子ドット成長条件をコントロールすることによって、量子ドットの大きさおよび密度を広範囲に精度良く制御できる技術を開発した。具体的には形成されたInAsドットの直径を15から45nm、密度を10^8cm^<-2>台から10^<11>cm^<-2>台の間で制御することが可能になった。 2.単一の量子ドットを含む共鳴トンネルダイオード(RTD)の製作とその電流・電圧特性の測定 1の技術を用いて、密度が10^8cm^<-2>台の低密度InAs量子ドットを作製したのち、その上にGaAsバリア層と金属薄膜を形成し電子線微細加工を用いて0.25μm^2の大きさにパターニングしてマイクロRTDを製作した。このRTDの有効面積に含まれる量子ドットの数は平均0.12個であるため、原子間力顕微鏡の導電性探針を電極に接触させて電流・電圧特性を測定することにより単一量子ドットの特性を評価することができる。実際、このようにして得られた温度130Kでの電流・電圧特性には電圧0.5V付近で顕著なコンダクダンスの減少が観測された。これは単一量子ドットを介した共鳴トンネルによるものと考えられる。 3.二重量子ドット構造による単一量子ドットの電流電圧特性の測定 GaAs障壁層を挟んで二層のInAsドット層を形成すると各ドットが上下に整列することが知られている。また、表面側のドット上ではポテンシャルが低下していて電流が流れやすいことを我々は見い出している。これらの効果を組み合わせて、表面側のドットをナノサイズの電極として利用し内部のドットを介して流れる電流の特性を2と同様にして測定した結果、共鳴トンネル効果によるものと思われるコンダクタンス変化がより顕著に見られた。
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