研究概要 |
ミリ波,サブミリ波及びX線領域の電磁波を高感度・高分解能で検出できる量子型検出器の実現にむけて,高品質・高機能な超伝導トンネル接合を作製することが本研究の目的である。得られた成果について以下に述べる。 (1)10^<-9>Paの到達真空度の超高真空EB蒸着装置によるNb, Al薄膜作製:一般的なスパッタ成膜速度の百分の1の1.2nm/minという非常に遅い堆積速度にも関わらず,Nb, Al薄膜はスパッタに比べて高品質な薄膜が得られた。Nb, Ta薄膜の単結晶化についても検討を行ない,多結晶薄膜に比べて膜の平滑性,超伝導特性の優れた薄膜を得た。 (3)対向ターゲット式スパッタによるSiO2層間絶縁膜作製,及び反応性イオンエッチングによる微細加工:接合にダメージがなく緻密な層間絶縁膜作製条件,及びフロン系ガスによる接合にダメージのない加工方法の最適化を行なった。 (4)ターゲット式スパッタによるNb/AlOx-Al/Nb接合作製:対向ターゲット式スパッタによるNb/AlOx-Al/Nb接合構造作製,引き続き上気条件による微細加工を行ない,4.2Kの素子特性として最高レベルの特性を得た。 以上の結果より高品質な素子特性をもつ接合作製技術の確立ができ,量子型検出器実現への見通しが得られた。今後,より高品質な素子特性が得られる可能性をもつ超高真空EB蒸着方法による接合作製について,EB蒸着時に発生する輻射熱の軽減等を検討していく。
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