研究概要 |
平成12年度において,まず,ZnターゲットとZnO:Alターゲットから同時にスパッタした薄膜の・ガラス基板上での特性を調べた.Alの添加量が1.5wt%のとき,現時点でえられるZnO系導電膜での抵抗率の最低が達成できる.このことはZnの添加が単一のZnOセラミックターゲットから供給される条件ではZn不足になっていることを示している.その原因についてはZnの供給を増やすことで結晶成長核が増大し,結晶粒成長が促進するものと考えられる.つぎに,その条件において,ZnO:AlとZnO:Ovの層状構造膜の実験をおこなった.ZnO:Al層を約250Å一定にし,ZnO:Ovの厚さを変化していった.このときもさきの同時スパッタで作製された膜と同程度の抵抗率が達成された.この場合もZnO:Ovを挿入することで結晶粒成長が促進されていることがわかった.キャリア密度の増大がみられ,Alの添加効率が増している.さらにSEMでの表面観察では10^<-4>Ωcmに近くなると,明視野像のなかに暗くみえる亀の子様の部分が観察されはじめる.この領域の詳細についてはこれからの問題として興味のある点である.つぎに,Znの添加時に第2の不純物を混入した.これは,Znの添加効果が結晶核の増大をもたらすため,その効果が促進されるのではないかとの予想から出発した.Mn,Co,Crについて試みた.実験についてはガラス基板上に250℃で作製した.膜作製は同時スパッタと層状構造膜の両方についておこなった.いずれの場合も膜の抵抗率は添加しない場合より増大してしまった.不純物の添加はZnによる核形成の促進を妨げる方向にあることがわかった.ZnOターゲットとIn_2O_<33>ターゲットをスパッタすることで2元系透明導電膜を作製した.低抵抗透明導電膜でアモルファス様の相やホモロガス相も観測されている.これにAlやSnの不純物添加効果を調べた.平成13年度はサファイヤ基板上の透明導電膜へのZn添加の影響を調べる.
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