研究概要 |
今年度は、金属/GaN界面、絶縁膜/GaN界面特性の統一的理解と制御プロセス技術の開発を中心に検討を行い、以下の成果を得た。 1.GaN界面特性の統一的理解;(1)金属/p-GaNショットキーのI-V-T測定から、障壁高さの不均一な"界面パッチ"がp-GaNにも存在すること、また、不均一性の程度はn形試料よりも大きいことを明らかにした。(2)障壁高さの金属依存性を表わすS値は、n-GaNでは0.28、p-GaNでは0.20程度であり、GaN試料では、フェルミ準位のピンニング傾向が強いことを明らかにした。(3)金属,絶縁膜/GaN界面におけるフェルミ準位のピンニング位置は、第1原理計算による特性エネルギーと対応していることを見出した。 2.界面特性の制御プロセス技術の検討;(1)金属/GaN界面およびSiO_2/GaN界面特性の改善法として、それぞれ、窒素および水素雰囲気中における低温熱処理が極めて有効であることを示した。(2)電解液中での陽極エッチングにより、平坦性の良好なGaN清浄表面が得られることを示した。 3.電流輸送特性の計算機シミュレーション;円状の"微小パッチ"が存在する金属/GaNショットキーの2次元電界分布を考慮したI-V一T特性の理論計算より、(1)リチャードソンプロットの直線からのずれ、(2)実効的障壁高さの温度依存性、(3)理想因子の温度依存性、(4)実効的障壁高さおよび理想因子の不純物密度依存性が、"パッチモデル"で定量的かつ統一的に説明されることを示した。 4.界面準位およびバルク中の深い準位の動的パラメータ値の決定;ショットキーおよびMISダイオードのC-t特性から、界面準位およびバルク中のトラップ準位の捕獲断面積と活性化エネルギーを決定した。
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