研究概要 |
本年度は3種類の手法でC60超薄膜あるいは超構造凝集体を形成することを試み,以下の成果をえた。 1)SN基を有するC60誘導体の金への吸着作用を応用し,自己組織単分子膜を作製する条件を検討した。その結果,有機溶媒中の誘導体は室温下で約15時間の反応の後,吸着作用は飽和することを見出した。えられた薄膜表面のAFM観察結果は,約2nm程度の単分子膜が形成されていることを示唆していた。 2)高真空中での蒸着法により,C60超薄膜を作製した。約250℃の基板温度の下で2次元成長が観察された。この時,約15nm厚の平滑かつ連続的な超薄膜がえられることを明らかにした。より低い基板温度下では,3次元的島状成長となることを確認した。 3)過飽和C60溶液より,核を制御し,極めてゆっくりと析出するC60は,数nmオーダーの径を持つ,極微細ファイバー状組織を形成することを明らかにした。SEMあるいはTEM観察によってその構造の特徴を検討した。
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