LSIの高速化には配線層に低誘電率層間膜を用いることが必要である。本研究ではCVD法により堆積したフロロカーボンに関する研究を行い下記の成果を得た。これらの結果は国内外で未着手、未解決のテーマで、多くの点で技術的に新規制性を有している。 1)CVDフロロカーポン膜のF組成に膜質の制御をはかった詳細を調べた。この結果、F組成の減少につれこの膜の耐熱性は向上する一方、誘電率が増加、相反関係があることを明らかにした。低い誘電率を有した層間膜を用いるとプロセス温度400℃のアニールに対し耐性が不十分で使用できない。 2)一方この膜はバリア膜との密着力が低く、プロセス温度のアニールによりバリア膜との界面で著しい反応が生じることを明らかにした。特に従来安定とされていたTaNバリア膜からTaが容易に拡散する現象した。この問題の解決法は現在見いだされていない。本研究の結果、この層間膜の誘電率を増加するか、CMPに用いるスラリーの開発以外に解決方法はないことを明らかにした。 3)現在実用化に最も近いCVDSiOC低誘電率層間膜とCMPに関する研究も行い、問題解決の目途を付けた。新たに開発したMnO2スラリーを用いた電気化学反応による研磨により、膜はげ臨界圧力を2.5倍に向上できた。
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