研究概要 |
本研究はメカニカルコンパウデイング(M.C.)法により作製したSr(Ba)-La-Co系M型フェライト微粒子を用いて,バルク磁石の作製を目的とした。バルク磁石の作製は異方性磁石は一般の焼結法,等方性磁石は加圧焼結である放電プラズマ焼結法と,ホットプレス法で作製した。結果をまとめると次のようである。 (1)メカニカルコンパウンディング法により作製したSr-La-Co系フェライト微粒子を用いて,CaO及びSiO_2途中添加し,異方性焼結磁石を作製したところ,CaO添加量が1.3wt%,SiO_2添加量が0.5wt%のとき最大磁気エネルギー積(BH)_<max>が33,7kJ/m^3と良好な値を得ている。また,CaO添加量が0.7wt%及びSiO_2添加量が0,5wt%の試料において,残留磁化J_r=0.4T以上,保磁力H_<cJ>=320kA/mと高保磁力を有する高性能な磁石の作製にも成功した。Ba-La-Co系異方性焼結磁石では,保磁力は130kA/mと低いものの,高い残留磁化(0.4T以上)を有する焼結磁石が得られた。 2)M.C法により作製したSr-La-Co系M型フェライト微粒子を用いて,放電プラズマ焼結法及びホットプレス法により等方性焼結磁石を作製したところ,高密度で高保磁力を有するバルク磁石の作製に成功した。放電プラズマ焼結法では諸特性として,(BH)_<max>(最大磁気エネルギー積):18.3kJ/m^3(2.3MGOe),H_<cJ>(保磁力):324kA/m,焼結密度:5.15Mg/m^3が得られ,ホットプレス法では(BH)_<max>(最大磁気エネルギー積):19.9kJ/m^3(2.5MGOe),H_<cJ>(保磁力):308kA/m,焼結密度:5.05Mg/m^3が得られた。 (3)上記の放電プラズマ焼結法及びホットプレス法で,M.C法により作製された微粒子を用いて,等方性焼結磁石を作製したところ,異方性処理を施していないにもかかわらず,異方性が付与されることがわかった。そこで,一般的な機械的粉砕粉を用いて,放電プラズマ焼結法及びホットプレス法にて等方性に焼結磁石を作製したところ,ほとんど異方性が付与されなかった事から,異方性が付与される理由は,メカニカルコンパウンディング法により作製された微粒子は,扁平板状で粒度がそろっているために,加熱時の加圧が機械的な配向に強く作用するものと考えられる。
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