研究概要 |
a(アモルファス)-Ge : Hやμc(微結晶)-Ge : Hは通常のrf放電によるCVDでは、欠陥が多く高品質化が難しい。我々は低圧放電が可能で基板へのイオン、電子照射が均一な高清浄ECRプラズマCVD装置を独自に開発し高品質a-,μc-Ge : H膜を作製し評価した。 QFRS法によりフォトルミネッセンス寿命分布を測定しデバイス級a-Si : Hで見られるfast/slowのダブルピーク(10μs/lms)をナノクリスタルの出現が予想されるアモルファス・微結晶の境界成膜条件のa-Ge : Hにも同様に観測した(1μs/lms)。そのダブルピークの成因を励起子のスピン状態の違い(1重項、3重項)で説明した。励起光強度が強くgeminate条件を満たさないTRS法では1重項励起子のnsオーダー発光寿命の報告がある。従来μs(マイクロ秒)までであったQFRS法の測定領域を、ns(ナノ秒)まで拡張し、geminate条件で測定できるnsQFRS測定システムを開発した。得られたQFRS信号に対して我々が考案した半解析的deconvolution法により、装置関数の影響を除去して真の寿命分布を得た。nsQFRS法によりa-Si : H膜とa-Ge : H膜の1重項励起子による発光寿命はnsオーダーにはなく、1〜10μsであることが確定的になった。 c-Ge上に基板温度25〜313℃でGe膜を堆積した。Ge(100)基板上では基板温度100℃以上でエピタキシャルライクな平坦膜(Ra<1.0nm)が得られた。一方、Ge(111)基板上では双晶が発生し、膜中には(220),(311)面などの他の面方位が混在した。これは(111)では結合手の幾何学的配置が結合の乱れを生じやすいためで、表面粗さはGe(100)上に対し大きくなる(Ra【approximately equal】1.5)。 現在、高品質SiGe合金膜成膜法開発のためSi膜成膜環境の整備を行っている。
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