ECRプラズマCVD法を用いμc-Ge : H(水素化微結晶ゲルマニウム)を成膜した。結晶基板上でμc-Ge : H膜は基板と全ての結晶軸が合致した優先配向成長がみられた。基板温度上昇に伴い結晶化率、優先配向割合は上昇する。しかし、ガラス基板上では(220)配向したμc-Ge : H膜の結晶化率は155℃が最大になり、さらなる温度上昇では結晶化率は低下する。これは膜表面からの水素離脱により結晶核形成が抑制されたためである。膜からのフォトルミネッセンスはアモルファス部結晶化率の上昇に伴い強度、ピークエネルギーが低下すること、及びやや広めの半値幅(0.2eV)をもつことからアモルファスからの発光であることが分った。 ナノクリスタル相の存在が期待できる微結晶-アモルファス境界成膜条件で高品質a-Ge : H(水素アモルファスゲルマニウム)膜を作製した。このa-Ge : Hに加えカルコゲナイド系アモルファス半導体のフォトルミネッセンス寿命分布においてもダブルピークを見出した。さらにこれまで不可能だったフォトルミネッセンスのナノ秒QFRS(直交成分周波数分解寿命測定)法を開発した。得られたQFRS信号に対して我々が考案した半解析的deconvolution法により、装置関数の影響を除去して真の寿命分布を得た。a-Si : H(水素化アモルファスシリコン)も含めたアモルファス半導体に共通してフォトルミネッセンスの短寿命成分(ns-μs)は1重項励起子発光、長寿命成分(ms)は3重項励起子発光によるものであることを明らかにし、スピン状態を制御すれば電子・正孔の再結合分布を変えることができるという応用上重要な知見を得た。
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