研究課題/領域番号 |
12650328
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研究機関 | 大同工業大学 |
研究代表者 |
坂 貴 大同工業大学, 工学部, 教授 (20115570)
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研究分担者 |
加藤 俊宏 大同特殊鋼(株), 技術開発研究所, 主任研究員
堀中 博道 大阪府立大学, 工学部, 教授 (60137239)
神保 睦子 大同工業大学, 工学部, 教授 (00115677)
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キーワード | スピン偏極 / スピンフィルター / 砒化ガリウム / 強磁性体 / 光電子 / 円偏光 |
研究概要 |
1.高スピン偏極電子線源の開発 スピン偏極電子線源として歪んだGaAs薄膜を用いた線源が用いられている。この線源では励起レーザ光により、GaAs薄膜よりスピン偏極した光電子を励起する。しかし、薄膜を用いるために励起レーザ光の吸収効率が悪く強い電流が得られない。このため、GaAs/GaAsP歪超格子を用いた線源を開発した。励起波長〜800nmで偏極度77%、量子効率0.7%あるいは、偏極度80%、量子効率0.3%が得られた。 スピンフィルターの研究はGaAs薄膜あるいはGaAs/GaAsP歪超格子の上に作製した強磁性体薄膜を用いて行う。これらの表面は歪により発生した格子欠陥によるクロスハッチが認められる。このクロスハッチは強磁性体薄膜の厚さよりもはるかに厚く、スピンフィルターの検討にとって障害となる可能性がある。このため、新たに歪のない表面が平滑なGaAs結晶を用いたスピン偏極電子源を開発した。この方法ではGaAs単結晶において、価電子帯の電子が円偏光した半導体レーザの2個の光子を吸収する過程を利用する。励起された電子のフォトルミネセンス光の偏光度より推定した光電子の偏極度は86%である。 2、スピンフィルターの研究 バルクGaAsの上にスパッタリング法によりGdTbFe膜を成長させ、容易磁化方向の膜厚依存性を調べた。厚さが200nmの時に容易磁化方向が膜に垂直となることを確認し、外部磁界によりGdTbFe膜を垂直に磁化させた。この状態で円偏光レーザを照射し、光電流の測定を行った。円偏光の向きを反転させた場合と、直線偏光の場合での光電流の大きさをくらべ、GdTbFe膜のスピンの向きが光電子のスピンの向きと平行の場合と反平行の場合で差が観測され、フィルターの機能が認められた。
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