研究概要 |
本研究は,研究代表者八木とクボタが共同で開発したアモルファス粉末成形磁心の磁化機構を磁区観察を基に検討し,磁心の低損失化・高透磁率化を図ることを目的としている。 磁区観察の実験着手は,電磁石並びに電源の納入の大幅な遅れが原因で,当初の計画予定よりも5カ月程度遅れたが,最近,アモルファス粉末単体および成形体の磁気力-効果顕微鏡による磁区観察に成功した。観察装置の改善や磁化機構の本格的な検討が今後必要であるが,粉末の粒度・粒形による磁区模様の特徴や成形体の局所歪みの影響と思われる複雑な磁区の知見が得られた(未発表)。 一方,アモルファス粉末成形磁心については,特性向上の検討やDC-DCコンバータにおける実回路試験を行い,センダスト系粉体磁心をはじめとする各種の商用磁心を上回る磁気特性が得られ,高効率・小型化が可能なことを実証した。また,新たに量産性を重視した常温成形法によるアモルファス粉末成形磁心の作製を検討した結果,低軟化点ガラスによるアモルファス粉末のコーティング複合化を行い,有機バインダーを加えて室温で加圧成形し,結晶化温度以下の比較的高い温度で焼成すると,従来のホットプレスによる成形磁心に近い良好な高周波磁気特性が得られることが分かった。
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