光信号分配器において、ON/OFF時の時間応答特性は基本的な特性であり、重要であるが、直交偏波4光波混合を用いた光信号分配器についてこの特性は詳しくは知られていない。この時間特性に関して成果が挙がったと考える。即ち、第1年目(昨年度)は書き込み光を遮断直後に出力光が一時的に増大する現象を発見し、この現象は正孔と自由電子がキャリアとして存在し、劣勢な方のキャリアによる空間電荷電界の時定数が短い場合に発生することを理論と実験から明らかにした。 第2年日(今年度)は、書き込まれた屈折率格子の2つの成分の相対位相が時間応答特性に与える影響を理論と実験の両面から明らかにした。即ち相対位相がπ(逆位相)でポンプ比が小さい場合(後進ポンプ光が弱い場合)に応答が5〜15倍程度早くなることを明らかにした。更に、全く新しいON/OFF法を提案した。すなわち外部から電界を印加することにより、屈折率格子を保存したまま、位相整合条件を満たさなくすることにより出力を切断できることを理論的に示した。この方法によれば、屈折率格子の消去・書き込みを伴う従来の応答速度を数桁改善できる可能性があることを明らかにした。 以上、まとめると直交偏波4光波混合を用いた光信号分配器の基礎的特性、特に時間応答特性に多くの有用な知見を得ることができた。
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