研究概要 |
1.ガンダイオード,ミリ波帯減衰器,ホーンアンテナ,ミリ波検出器等を用いて前年度に構成したミリ波帯における液晶セルの特性を測定する装置について,液晶セルを透過したミリ波を3次元的に検出し,またミリ波の偏向特性,収束・発散特性等を精度良く測定できるように改良し,さらに測定周波数帯を50GHz帯から90GHz帯へ拡張した。 2.光波領域における液晶セルの特性を測定する装置を構成し,次に配向処理を行った基板と適当な厚みのスペーサ,及び種々の物性定数を有するネマティック液晶を用いて液晶セルを作製した。この液晶セルを用いて,光波領域における基礎的な特性を測定することで,ミリ波帯における液晶デバイスを構成するための指針を得ることができた。 3.作製したネマティソク液晶セルを用いて,電圧印加によるミリ波帯における透過特性を測定し,ミリ波の偏波特性と液晶分子配向との関係について考察した。 4.時間領域有限差分法(FDTD法)を用いた液晶セルに対するミリ波の透過特性を計算しシミュレーションを行う手法を開発し,積層構造の液晶素子に適用するために改良を加えた。 5.ミリ波と液晶層が有効に結合できるように液晶層の実効的な厚みを大きくし,且つミリ波が液晶層方向に透過できるような構造とするために,ネマティック液晶セルを多層積層した構造の液晶デバイスを構成した。さらに,その構造をくさび形やレンズの形状となるようにして積層した液晶デバイスを作製し,ミリ波の透過特性や偏向・収束特性等の測定を行った。次に,この液晶デバイスに電圧を印加した場合のミリ波の透過・偏向・収束・発散特性等の電圧印加こよる制御特性を測定すると共に,FDTD法による解析を行い実験結果と比較考察した。 6.以上の研究結果を取りまとめ,本研究の総括を行った。
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