研究概要 |
平成13年度は,これまでに得られた理論結果を基に,感度の低下を伴わないダイヤフラム(感圧部)縮小則を導き,この縮小則を実験により明らかにした。我々のグループでは,既に,生体内圧センシング(特に血圧測定)を行うのに十分な感度を持つセンサの試作に成功している。しかし,そのダイヤフラムサイズは1.2mm×10mm×20μmで,医用圧計測カテーテルへの組み込みを考える場合には,ダイヤフラムのさらなる小型化が望まれる。そのため,既に得られている感度を維持しながらセンサを小型化できるダイヤフラム縮小則は非常に重要と言える。 理論結果によると,ダイヤフラムの幅,長さ,厚さをそれぞれa, b, tとしたとき,a/bとa^3/t^2の値を一定に保ったまま,そのサイズを縮小しても感度は変わらない。この縮小則を実験により確かめるため,ダイヤフラムサイズ(1)3.0mm×15mm×65μmと(2)2.0mm×10mm×35μmの2つのセンサを試作した。両センサのダイヤフラムは共に,a/b=0.2, a^3/t^2=6.5×10^3mである。ところで,センサ感度は導波路位置によって変わる。そのため,0.1mmおきに各導波路位置のセンサ感度を測定したが,ダイヤフラム中央における両センサの感度は,(1)69mrad/kPaおよび(2)67mrad/kPaであった。このように,両者の感度はほぼ同じとなり,縮小則を支持する実験結果が得られた。この縮小則より,ダイヤフラムの幅,長さ、厚さをそれぞれ0.5mm, 2.5mm, 4.5μmとすれば,導波路をダイヤフラムの中央に位置させたとき,約70mrad/kPaの位相感度が期待できる。このようなセンサが実現できれば,医用圧計測カテーテルへの組み込みが十分可能であると言える。
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