研究概要 |
現在の時系列デジタル信号処理では対処できないと予想される,超並列チャンネルの時系列信号伝送や3次元ホログラフィ情報伝送の手法として,広いスペクトルを持つ広帯域光源のスペクトルに高い空間分解能をもつ2次元空間情報をアナログ変換により直接転写し(空間時間変換),単一モードファイバ伝送し,再び2次元空間情報として再生(時空間変換)する方式を実験系を構築して,その原理と性能について調べることを目的として以下の実験を行った。 第二年度は。これまでの研究成果をうけ,時空間変換を利用したフォトニック・ルータの原理実証実験を低コヒーレンス光を用いて行った。 (1)フォトリフラクティブ結晶による角度多重ホログラムと符号多重を併用することで,周波数位相の整合フィルタリングによって所定の角度方向にのみ複合した信号を回折できることを明かにした。 (2)現在の体積ホログラム用フォトリフラクティブ材料は,低コヒーレント光源の波長域(650,800nm)に感度がないため,直接周波数域で多重ホログラムを形成することは難しい。そこで,空間域ホログラムを周波数域に転用する方法,YAG-SHGレーザと長波長低コヒーレント光を用いた二段階励起書きこみ方式,フェムト秒SHGレーザによる周波数域での書き込み実験を行った。結果的に,空間ホログラムの周波数ホログラムへの転用が有望であるが,Bragg回折条件を周波数域で満たすように調整することは容易ではない。 以上より,空間域におけるアナログ・ホログラフィ技術,および周波数域符号多重方式を用いて,時間-空間域の相似性を利用することで,信号パケットの周波数符号によって信号パケットを電気信号に変換することなくルーティングできることを明かにした。
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