研究概要 |
1 渦電流を考慮した非線形有限要素解析プログラムにより,狭トラック化による記録磁界の変化,材料飽和磁束密度による記録磁界の変化,材料抵抗率による記録磁界の変化,などを体系的に求めた.面内記録ヘッド:stitchedやFIB trimmedなどの構造では,特にトラック幅が0.3μm以下で,記録磁界の絶対値が不足する.一方,平面構造ヘッドでは強い記録磁界は得られるが,隣接するトラックへの漏れ磁界が大きいことが問題である.乗直記録単磁極ヘッド:2層媒体全体をモデル化することは不可能であり,媒体の面積を大きくとると計算時間が飛躍的に増加し,一方,媒体の面積が小さいと高い計算精度が得られない.ヘッド本体がABS面に露出する部分を覆う大きさの媒体をモデリングすることにより,高い計算精度のまま計算時間を大幅に短縮可能であることを示した.次に,単磁極ヘッドは狭トラックであっても強い記録磁界を発生すること,500MHz〜2GHzの高周波記録電流に良好に追従することを示した.これから,単磁極ヘッドは今後の高密度記録ライトヘッドとして有望であることを述べた. 2 記録素子全体のマイクロ磁化過程の解析は計算機の速度・メモリーの両面から,現在では,現実的ではない.ポール部の解析を効率よく行なうため,現有LLG方程式プログラムを最適化中である. 3 記録素子の状態でポール部分をMFM計測・評価を行なうことは不可能であるので,ポール部を模擬した薄膜を作成し,MFM計測・評価を行なう.計測結果をマイクロ磁化解析の結果と比較・検討し計算にフィードバックすることを意図して,数種類の組成の薄膜をガラス基盤上にパターン化した薄膜を形成し,MFM計測を試みている.
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