携帯電話やPHSに代表される移動通信端末機器の形状は、半導体微細回路加工技術の進展や、市場サイドにおける可搬・携帯性の追求などに伴い小形化される趨勢にあるが、アンテナに関してはその性能が波長に依存することから、小形化の点ではまだ十分に開発の余地が残されている。本研究の目的は、この点をふまえ高誘電率セラミック材料の波長短縮効果を利用した新しいタイプのアンテナを提案し、その形状を従来のアンテナより小形化、更にはチップ化することにあり、比誘電率90のセラミック材料をもとに平面寸法2×1cm以下のアンテナを考案した。この小形アンテナは、プリント配線した高誘電率セラミック基板と低誘電率誘電体膜とを交互に積層した構造であり、その積層条件により放射効率が、配線の形状により偏波特性が、また給電方法により帯域特性が改善されることが実験的に明らかとなった。これらの詳細を現在高周波電磁界シュミレータをもとに解析しアンテナ設計のためのCADを作成するとともに、本アンテナの設計法を確立している。また理論的検討と平行して ・配線の形状放射指向性及び偏波特性の関係。 ・平衡給電と不平衡給電に対する、アンテナの比帯域を測定する。 ・高誘電率セラミック基板と低誘電率誘電体膜の厚みに対する、アンテナの放射効率 などを測定し、全方向指向性型円偏波アンテナを試作している。
|