研究概要 |
キャビティ付スロットアンテナをマイクロ波エネルギー伝送に適用することを提案し,アンテナ素子設計手法として時間領域差分(FDTD)法,アンテナ素子の給電構造および薄形化に関する提案を行ってきた.本研究においては,マイクロ波エネルギー伝送に適したアレーアンテナ素子として側面をワイヤで構成したキャビティ付スロットアンテナの開発研究を行う.キャビティ付スロットアンテナとは直方体のキャビティ(空洞共振器)の一つの面にスロットと呼ばれる開口部を設け,アンテナとして利用する.しかしながら,キャビティ側面と上下地板の電気的接続およびキャビティの製作は容易ではない.このようなことから,キャビティ側面をワイヤにより構成することで,電気的な特性を劣化させることなく,製造を容易にできるのではないかと考えた. 本年度得られた研究成果は次のとおりである.前年度明らかにしたアンテナ単体の設計法および解析手法に基づいて,側面をワイヤで構成したときにキャビティ高さとアンテナ特性の関係について明らかにし,薄形化のための設計法を確立した.さらに,新たな知見として,側面を半径3mm程度の円筒または角柱パイプ(またはポスト)を用いて構成することによって,側面をワイヤで構成した場合と同様にアンテナ特性を劣化させることがなく,容易な製造を実現することを明らかにした.また,薄形化には適さないが,逆F給電素子を利用することが給電部をキャビティ背面に集中できることから,製造において有利であることを示した. 複数のアンテナ素子から構成されるアレーアンテナについて解析手法およびアンテナ素子特性に及ぼす相互結合の影響を明らかにするため,超並列スーパーコンピュータHITACHI SR8000の効率的な利用方法を考慮した解析手法を明らかにし,現在並列計算向きプログラム開発を行っている.
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