本研究では、強制レイリー発振器にみられるTaming chaos現象の発生のメカニズムを理論的に解明することを目的としている。 カオス現象は自励系では3次元以上の系に発生する。通常、カオスに関連した分岐現象を調べるとき写像法が使われる。しかしながら、写像法によって得られるポアンカレ写像は2次以上の離散力学系になるが、2次以上の離散力学系に対する数学的理論が充実していないため、カオス現象の解析は極めて難しい。 本研究では、ダイオードを含む強制レイリー発振器を解析した。その結果、微小高調波外力の印加の結果、カオスが消滅するというTaming chaos現象が発生することになった。さらに、この方程式においてダイオードを理想的スイッチとみなす理想ダイオード型特異摂動を用いて解析した。その結果、ポアンカレ写像は一次元写像として導出できることが明らかとなった。 この一次元写像を用いて、Taming chaos現象のメカニズムを解明することが来年度の課題である。
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