マルチメディア伝送においては、動画像、静止画像、音声、データ等、それぞれのメディアに応じて信号の伝送レートと要求される誤り率が異なる。本研究では様々なメディアの信号の伝送レートに対応するため、伝送タイムフレームの中でタイムホッピングを用い、ホップレートを変えることにより伝送レートを可変にするシステムを提案した。ランダムホップシーケンスを用いたシステムを仮定して、シミュレーション及び理論解析によりビット誤り率を求めた。さらに、電力制御を用いた場合の各信号の電力と誤り率の関係を求めた。 以上の検討に加え、電力制御を用いたときに干渉の影響を最小限に押さえるパワーセレクタを提案し、特性を解析した。パワーセレクタは、多重信号の送信端において、受信器に対し必要最小限の光電力を送信することになり、これにより、他ユーザーへの干渉を最小限に押さえることができることを示した。また、パワーセレクタは光増幅器とハードリミッタで構成できることを示した。 解析の結果、提案システムはマルチメディア伝送における有力な方式であることが明らかになった。 また、マルチビット符号化M値PPM方式についても検討を行った。従来の光直交符号を巡回シフトさせることにより、各シフト量に対応した情報をのせた新しいマルチビット識別符号をM値PPM方式に適用した。ここでは多重度とビット誤り率の関係、さらに光強度を制御した場合の特性を理論解析、およびシミュレーションにより求めた。PPM方式を用いることにより、他の信号からの信号の干渉が小さくなり、多重度を高めることができることを明らかにした。 さらに、周波数領域の光CDMAの分散補償についても検討し、良好な結果を得た。
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