研究概要 |
本研究では,動画像,特にMPEG圧縮された動画像の内容に基づく検索方法の開発と実用的システムの構築を目的とし,今年度は,1.シーン内動きベクトルからの特徴量抽出法,2.シーン内の色を中心とした特徴量抽出法,3.ユーザの検索意図を具体化するインタフェース,4.マッチングにおける距離関数の検討,の4点について基礎的な検討を行なった,その結果,それぞれについて以下の成果が得られた. 1.動きベクトルに対する特徴量として,ベクトル(x,y)の生起確率を表すヒストグラムを用いることにより,効率の良い検索が可能であることを確認した. 2.色に対する特徴量として,MPEGマクロブロック単位の平均色(DCTのDC係数に対応)を利用し,これをHSV空間内で42個に量子化して用いた.また,動きベクトルと色情報を併用したマッチング方法を検討し,実際に約1300のシーンを含むデータベースに適用した結果,再現率80%で精度約30%程度の効率が得られることを確認した. 3.ユーザによる検索キー作成を支援するため,背景,対象物体の動きと色,およびカメラワークを入力可能なインターフェースを作成した. 4.動きベクトルのヒストグラム間距離として,重み付き2乗距離を利用することとし,各ユーザに特化した重み行列の決定法を提案した.これにより,非常に簡易な手続きによって,ユーザの好みに合ったマッチング処理が可能となった. 以上により,本研究の目指す検索システムのうち,その基礎となる手法,アルゴリズムが確立された.次年度は,これらを総合すると共に効率と処理速度の向上を目指す予定である.
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